ここでは、今年7月に発表された調査結果(※1)から、福祉施設等(以下、医療,福祉)におけるハラスメント対策への取組状況などをみていきます。
雇用管理上、必要な措置を講じることが事業主の義務となっているハラスメントとして、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児・介護休業等に関するハラスメントがあります。上記調査結果から、医療,福祉の企業における、これらのハラスメント防止対策への2024年の取組状況をまとめると、表1のとおりです。

3つのハラスメントのすべてで、防止対策に取り組んでいる企業が95%を超えています。取組内容については、すべて取り組んでいる企業が、いずれも50%超となっています。調査結果全体をみると、3つのハラスメント防止対策について、取り組んでいる割合は90%程度という状況であり、医療,福祉の方が取組割合が高いことがわかります。
今年6月の法改正により、新たにカスタマーハラスメントなども雇用管理上、必要な措置を講じることが事業主の義務となります(今後施行の予定)。
義務化前の状況ですが、同調査結果から医療,福祉のカスタマーハラスメント対策の実施状況をまとめると、表2のとおりです。

医療,福祉の企業では、2024年の段階で、すでに42.0%が一定の取組をしており、調査結果全体よりも11.9ポイント高くなっています。とはいえ、今後はまだ取組を行っていない企業も含めて、義務化される内容に応じたカスタマーハラスメント対策を講じていく必要があります。
厚生労働省では、ハラスメント対策の総合情報サイト(※2)を公開し、様々な情報提供を行っています。企業が対応すべきハラスメント対策が増加していきますので、こうしたサイトなども参考にしながら、自施設での対応をすすめてはいかがでしょうか。
(※1)厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」
常用労働者10人以上を雇用している民営企業のうちから産業・規模別に層化して抽出した6,000企業などを対象にした調査です。
(※2)厚生労働省「明るい職場応援団」
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